Toyotaの特許をクルマだけに絞らず眺めると、移動機械のサイズがどんどん人へ近づいてきます。人が上に乗る小型モビリティ、脚へ取り付けるロボット、同行者についてくる車いす。さらに、車そのものではなくシートや台車、ロッカーまで動き始めます。

共通しているのは、『人が機械へ合わせる』より『機械の側が人や用途へ寄ってくる』ことです。速度に応じて車輪間隔を変え、身体を支えるためにシート形状を変え、必要な荷物だけを見せるためにロッカーの窓まで変化します。

FIG. 01

低速では短く、高速では長く。車輪間隔を変える一人乗りモビリティ

SOURCE FIGURESFIG. 1, FIG. 2
PUBLICATIONUS20180065701A1
US20180065701A1。前輪と後輪の間隔を変え、小回りと高速時の安定性を両立させる。
FIG. 01US20180065701A1
Toyotaの車輪間隔を可変にした一人乗り移動装置の特許図面。

US20180065701A1。前輪と後輪の間隔を変え、小回りと高速時の安定性を両立させる。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

小型モビリティは狭い場所では短い車体が有利ですが、速度が上がると安定性が課題になります。この特許は前輪支持部と後輪支持部の相対位置を変え、ホイールベースそのものを可変にします。

ハンドル操作と車輪間隔を結び付け、コンパクトさを固定寸法ではなく状態として扱う発想です。

Toyota Motor CorpFIG. 01
ASSIGNEE
Toyota Motor Corp
PRIORITY
2016-09-07
PUBLISHED
2018-03-08
PUBLICATION
US20180065701A1
INVENTORS
Takeshi Kama / Makoto Kakuchi / Makoto Mori
ORIGINAL
FIG. 02

歩くための関節にもう一つの関節を重ねる

SOURCE FIGURESFIG. 1
PUBLICATIONUS20160151907A1
US20160151907A1。利用者の関節へロボット関節を沿わせ、許容範囲を外れた動きを補助的に戻す。
FIG. 02US20160151907A1
Toyotaの身体へ装着するウェアラブルロボットの特許図面。

US20160151907A1。利用者の関節へロボット関節を沿わせ、許容範囲を外れた動きを補助的に戻す。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

この特許は利用者の関節に沿って装着するロボット関節を制御し、設定した角度範囲を超えたときに戻す方向のトルクを与えます。

移動機械が人を運ぶのではなく、人の身体側へ入り込み、歩行そのものへ力を足す構成です。

Toyota Motor CorpFIG. 02
ASSIGNEE
Toyota Motor Corp
PRIORITY
2014-12-01
PUBLISHED
2016-06-02
PUBLICATION
US20160151907A1
INVENTORS
Hikaru Sugata
ORIGINAL
FIG. 03

車いすが操作される代わりに同行者についていく

SOURCE FIGURESFIG. 1
PUBLICATIONUS20220142832A1
US20220142832A1。特定した同行者の動きを検出し、車いすがその動きへ追従する。
FIG. 03US20220142832A1
Toyotaの同行者追従型電動車いすの特許図面。

US20220142832A1。特定した同行者の動きを検出し、車いすがその動きへ追従する。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

電動車いすをジョイスティックで逐一動かす代わりに、システムが同行者の特徴と動きを認識し、その移動へ合わせて車いすを走らせます。

利用者本人の操作を減らし、『一緒に歩く人』をナビゲーションの基準にするのが特徴です。

Toyota Motor North America IncFIG. 03
ASSIGNEE
Toyota Motor North America Inc
PRIORITY
2020-11-06
PUBLISHED
2022-05-12
PUBLICATION
US20220142832A1
INVENTORS
Dario Jose Villarreal Suarez / Sarah Darrow / Douglas A. Moore / Christopher Lee
ORIGINAL
FIG. 04

移動中の景色を別の時代や仮想空間へ差し替える

SOURCE FIGURESFIG. 2
PUBLICATIONUS20200134922A1
US20200134922A1 / FIG. 2。ハンドル上部にディスプレイ、スピーカー、カメラを備え、位置や進行方向に応じた映像体験へ使う。
FIG. 04US20200134922A1
Toyotaの表示装置付き移動体で、乗員に位置連動映像を見せる特許図面。

US20200134922A1 / FIG. 2。ハンドル上部にディスプレイ、スピーカー、カメラを備え、位置や進行方向に応じた映像体験へ使う。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

乗員を運ぶ移動体に表示装置を持たせ、現在位置と進行方向に応じた映像を提示します。説明では、現在とは違う時代の風景や、実際には入れない建物内部の映像まで想定されています。

移動そのものを目的地までの空白時間ではなく、映像と組み合わせた体験として使う発想です。

Toyota Motor CorpFIG. 04
ASSIGNEE
Toyota Motor Corp
PRIORITY
2018-10-30
PUBLISHED
2020-04-30
PUBLICATION
US20200134922A1
INVENTORS
Takashi Kama / Yusuke Hara / Hiroshi Hiraiwa / Takahiro Shiga
ORIGINAL
FIG. 05

カーブで身体が振られる前に、シートの脇が膨らんで支える

SOURCE FIGURESFIG. 6A, FIG. 6B
PUBLICATIONUS20200238854A1
US20200238854A1 / FIGS. 6A–6B。シート内のアクチュエータが膨らみ、必要なときだけ身体の横を支える。
FIG. 05US20200238854A1
Toyotaの形状可変ボルスター付き車両シートの特許図面。

US20200238854A1 / FIGS. 6A–6B。シート内のアクチュエータが膨らみ、必要なときだけ身体の横を支える。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

通常時は低いボルスターを保ち、横加速度などの条件に応じてシート内のアクチュエータを作動させ、必要な部分を膨らませます。

硬いシートで常に身体を固定するのではなく、状況に応じて座席そのものの形を変える設計です。

Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America IncFIG. 05
ASSIGNEE
Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America Inc
PRIORITY
2019-01-30
PUBLISHED
2020-07-30
PUBLICATION
US20200238854A1
INVENTORS
Umesh N. Gandhi / Brian J. Pinkelman / Ryohei Tsuruta
ORIGINAL
FIG. 06

ロボットをトランクに入れず、車のヒッチにそのまま載せる

SOURCE FIGURESFIG. 4B
PUBLICATIONUS20190232992A1
US20190232992A1。車両のヒッチへロボットを固定し、移動先まで一緒に運ぶ。
FIG. 06US20190232992A1
Toyota Research Instituteの車両後部ヒッチへ搭載するロボットシステムの特許図面。

US20190232992A1。車両のヒッチへロボットを固定し、移動先まで一緒に運ぶ。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

この特許は車両後部のヒッチをロボットの輸送・支持基盤として使う構成を扱います。ロボットは目的地まで車に運ばれ、到着後に作業へ移れます。

車とロボットを別々の機械として見るのではなく、長距離移動は車、現場作業はロボットという役割分担を物理的な接続で作ります。

Toyota Research Institute IncFIG. 06
ASSIGNEE
Toyota Research Institute Inc
PRIORITY
2018-01-26
PUBLISHED
2019-08-01
PUBLICATION
US20190232992A1
INVENTORS
Joseph Bondaryk / Eric Krotkov
ORIGINAL
FIG. 07

荷物台車の下へ自走ユニットだけが潜り込む

SOURCE FIGURESFIG. 2
PUBLICATIONUS20220390949A1
US20220390949A1。走行機能を持つユニットと荷物を載せる台車を分離し、必要に応じて組み合わせる。
FIG. 07US20220390949A1
Toyotaの自律走行ユニットと荷物用トロリーを組み合わせる特許図面。

US20220390949A1。走行機能を持つユニットと荷物を載せる台車を分離し、必要に応じて組み合わせる。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

荷物を載せるトロリー側と、自律走行するユニット側を分けます。荷物量などに応じて走行ユニットの動作を決め、必要な台車へ移動能力を与えます。

すべての台車へモーターやセンサーを固定搭載するのではなく、『走る部分』だけを共有できる構成です。

Toyota Motor CorpFIG. 07
ASSIGNEE
Toyota Motor Corp
PRIORITY
2021-06-04
PUBLISHED
2022-12-08
PUBLICATION
US20220390949A1
INVENTORS
Yoshihiro Shimada / Zixun Mei / Hiroyuki Kobayashi / Hideki Fukudome / Tomoko Asai
ORIGINAL
FIG. 08

配送ロッカーが自分で走り、本人の荷物だけ透明にする

SOURCE FIGURESFIG. 2
PUBLICATIONUS20240286468A1
US20240286468A1。各扉に調光ガラスを使い、認証後に該当区画だけ中身を見えるようにする。
FIG. 08US20240286468A1
Toyotaの自律走行する複数区画ロッカー型移動体の特許図面。

US20240286468A1。各扉に調光ガラスを使い、認証後に該当区画だけ中身を見えるようにする。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

複数の施錠区画を持つロッカー自体が受取人の場所へ移動し、認証に成功すると、その荷物が入った区画の調光ガラスだけを透明にします。

配送車からロッカーへ荷物を移すのではなく、ロッカーそのものに移動能力を持たせる発想です。

Toyota Motor CorpFIG. 08
ASSIGNEE
Toyota Motor Corp
PRIORITY
2023-02-28
PUBLISHED
2024-08-29
PUBLICATION
US20240286468A1
INVENTORS
Masashi Nakamura / Masahiro Iwamoto / Takao Kataoka
ORIGINAL

AFTER THE FIGURES

クルマの会社というより、移動の単位を作る会社として見る

8件を並べると、Toyotaが想定する移動の単位は四輪車だけではありません。人が立って乗る装置、身体へ装着する機構、車いす、荷物台車、ロボット、ロッカーまで、移動させたい対象ごとに機械の形を変えています。

面白いのは、移動機械が小さくなるほど人との距離が近くなることです。脚を直接支えたり、座っている身体をシートが押し返したり、同行者の歩き方を車いすが追ったりする。機械の制御対象が道路から身体へ寄っていきます。

一方で荷物側を見ると、台車やロッカーそのものが自走する発想になります。『クルマで何を運ぶか』ではなく、『運ばれる物にどんな移動能力を持たせるか』へ視点が反転しているのが、この8件の共通点です。

SOURCES

一次資料

  1. US20180065701A1 — Traveling apparatus
  2. US20160151907A1 — Method for controlling wearable robot
  3. US20220142832A1 — Wheelchair systems and methods to follow a companion
  4. US20200134922A1 — Movable body
  5. US20200238854A1 — Vehicle seat with morphing bolsters
  6. US20190232992A1 — Hitch-mounted robot systems
  7. US20220390949A1 — Mobile body system
  8. US20240286468A1 — Autonomous mobile body