Dysonといえば掃除機や羽根のない扇風機。でも特許図面を横に並べると、その技術は予想外の場所へ移動しています。空気清浄機はヘッドホンに入り、風は手の水を切り落とし、髪を巻き、輪の形をした機械から湿り気まで運びます。
同時に、掃除機は階段の角に沿って手で引き上げやすい形になり、緑の光でまだ見えない埃を教えます。ロボットは部屋を走り、自分をきれいにするためのドックさえ考案されます。さらに、指の長さが左右で違うロボットハンドまで登場します。
これら10件はUS特許公報に記載された発明です。機能が近い市販製品もありますが、特許番号と個々の製品の一対一対応は未確認です。
空気清浄機を顔の前まで連れて歩く
どんな発明?
この特許はヘッドホンの左右のスピーカー部に送風装置を組み込み、顔の前へ浄化空気を送るウェアラブル空気清浄機です。FIG. 1では耳に装着する本体と口元の送風部を一体化した全体像を描いています。
普通の空気清浄機は部屋をきれいにします。この案では部屋全体を相手にせず、本人が呼吸する直前の空気だけを移動する装置で処理します。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2018-07-23
- PUBLISHED
- 2021-08-26
- PUBLICATION
- US20210260415A1
- INVENTORS
- Philip Stephen Darling / Matthew Jerome Jennings / Peter Knight Reid
階段の角を使って、掃除機を引き上げる
どんな発明?
古いDysonの特許は、キャニスター掃除機の底面に階段の角を受け入れる溝を設け、前端を斜めにする構造です。FIG. 1では階段に置くことを前提とした独特の本体形状が見えます。
利用者がホースを引いて上段へ移動させるための構造であり、自走式の階段昇降ロボットではありません。階段に掃除機を置いたまま作業したいという、身近な不便から生まれています。
- ASSIGNEE
- Notetry Ltd (later Dyson Technology Ltd)
- PRIORITY
- 1995-01-27
- PUBLISHED
- 1999-08-17
- PUBLICATION
- US5937477A
- INVENTORS
- James Dyson
人の指とは違う長さで、小さな物をつまむロボットの手
どんな発明?
Dysonのロボットハンド特許は、向かい合う二本の指に異なる数の関節・節を持たせる構造です。FIG. 1では、左右対称でなくても物を保持できる機械の手が描かれています。
つまむ対象と床や机の関係に合わせて、片側の指だけを長くする設計です。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2020-02-27
- PUBLISHED
- 2023-03-02
- PUBLICATION
- US20230064919A1
- INVENTORS
- Andrew James Shaw / Vincent Denis Clerc
羽根を見せず、輪っかの内側から風を増やす
どんな発明?
「Fan」は台座の内部で動かした空気をリング状の吹出口から高速で送り、周囲の空気を巻き込んで気流を増幅する構成です。FIG. 1では、普通の扇風機の羽根があるはずの場所が大きな空洞になっています。
羽根は見えない本体内部に移され、部屋へ向かう風を輪の形で整えます。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2007-09-04
- PUBLISHED
- 2009-03-05
- PUBLICATION
- US20090060711A1
- INVENTORS
- Peter David Gammack / Frederic Nicolas / Kevin John Simmonds
手の水を細い空気の刃で切り落とす
どんな発明?
この特許が改良するのはハンドドライヤー全体ではなく、空気を細いスリットから均等に出すためのノズル製造・組立構造です。図面では、空気を幅の狭い帯として放出する構造がわかります。
温風で水を蒸発させるだけではなく、高速の空気で手の表面から水を吹き払う「エアナイフ」の方式を、部品の精度から支えようとします。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2011-10-20
- PUBLISHED
- 2013-04-25
- PUBLICATION
- US20130097885A1
- INVENTORS
- James Dyson / Leigh Michael Ryan / Robert Michael Cox
髪を手で巻かず、空気の流れでカールを作る
どんな発明?
ヘアケア機器のアタッチメントを扱うこの特許では、吹出口や周囲の部材を組み合わせ、流れる空気で毛束を巻き付けるための構成を示しています。FIG. 1には空気の通り道を持つ細長いアタッチメントが描かれています。
髪を固定するクリップや熱いコテを中心に考えるのではなく、空気の流れを髪の位置を決める道具として使います。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2020-09-18
- PUBLISHED
- 2024-01-11
- PUBLICATION
- US20240008618A1
- INVENTORS
- Robert Mark Brett Coulton / Martin Edward Keane / Peter Dabbs
見えない床のほこりを緑の光で浮かび上がらせる
どんな発明?
この特許は掃除機のヘッドへ緑色レーザーダイオードを配置し、床面の前方を照らす方式です。FIG. 1では掃除する面に対して低い位置へ光源を収める考え方が示されています。
掃除機は汚れを吸い取れても、吸うべき場所を人が見つけられなければ使いにくいものです。照らす角度を工夫し、肉眼では見えにくい小さな粒子を見つけやすくします。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2020-01-31
- PUBLISHED
- 2023-02-02
- PUBLICATION
- US20230036398A1
- INVENTORS
- Stephen Robert Dimbylow / Andrew David Warrington / Henry Thomas James Barnard
床を洗ったあと、掃除機自身に絡んだ毛まで取り除く
どんな発明?
床掃除が終わっても、ブラシに毛が巻き付いていれば今度は掃除機を掃除する必要があります。この特許はドック側へ毛を除去する機構を組み込み、置いたままクリーナーヘッドを手入れする設計です。
公報ではカッター、フック、櫛状部材など複数の除去方式が説明されています。床を洗う機能そのものではなく、掃除道具のメンテナンスを自動化することが焦点です。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2021-02-26
- PUBLISHED
- 2024-05-02
- PUBLICATION
- US20240138646A1
- INVENTORS
- Oliver Dodgson
ロボット掃除機の小さな胴体へサイクロンを詰め込む
どんな発明?
この特許は自走式掃除機の内部へサイクロン分離機構を組み込む構造です。FIG. 1には、床を自律走行する車体とその上の分離部を一体化した姿が示されています。
手で持つ掃除機なら縦長の筒を置けますが、ロボットが家具の下を通るには高さを抑えなければなりません。吸引と分離の仕組みを小さな移動体へ詰め込む設計課題が図に現れます。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2011-02-04
- PUBLISHED
- 2014-01-16
- PUBLICATION
- US20140013538A1
- INVENTORS
- James Dyson / Peter David Gammack
風を送る輪っかをそのまま加湿器にもする
どんな発明?
「Humidifying apparatus」は水タンクを備えた本体と環状の吹出口を組み合わせる加湿装置です。FIG. 1は羽根の見えない送風機によく似た外観ですが、内部には水を扱う機構もあります。
室内の湿度を変えるには、水と空気の両方を制御する必要があります。送風機の輪という形を保ったまま、そこへ加湿という別の働きを重ねています。
- ASSIGNEE
- Dyson Technology Ltd
- PRIORITY
- 2012-03-06
- PUBLISHED
- 2014-03-20
- PUBLICATION
- US20140077398A1
- INVENTORS
- Mark Joseph Staniforth / Daniel James Beavis / Jude Paul Pullen / James Dyson / Nicholas Gerald Fitton
AFTER THE FIGURES
Dysonが変えようとしているのは、家電の形よりも「機械が担う仕事」
10件を貫くのは、風の出し方や掃除の仕方を、決まった家電の形から切り離す発想です。空気は部屋全体ではなく顔の前へ届き、風は冷却だけでなく水の除去やヘアスタイリングにも使われます。
掃除機側でも、見つける・運ぶ・吸い取る・内部でごみを分離する・使い終えた道具を手入れする、と仕事が細かく分けられていきます。階段用の底面と自律走行ロボットは別の発明ですが、どちらも人と機械の分担を変えます。
見慣れた家電の部品や形を組み替えるだけで、これほど異なる未来の暮らし方が描けることが特許図面から伝わってきます。
SOURCES
一次資料
- US20210260415A1 — Wearable air purifier
- US5937477A — Vacuum cleaner
- US20230064919A1 — Robot hand
- US20090060711A1 — Fan
- US20130097885A1 — Developments in or relating to a hand dryer
- US20240008618A1 — Attachment for a haircare appliance
- US20230036398A1 — Cleaner head for a vacuum cleaner
- US20240138646A1 — Floor cleaner dock
- US20140013538A1 — Autonomous vacuum cleaner
- US20140077398A1 — Humidifying apparatus
