公開特許に描かれた住まいでは、部屋が昼と夜で形を変え、ベッドやテーブルは天井へ消え、キッチンはロボットアームで料理を始めます。
さらに進むと、冷蔵庫の扉は窓になり、浴室の操作部は空中へ浮かび、トイレは健康状態を測り、衣類整理装置は服の向きをそろえて折り畳みます。最後には、家具や床だけでなく、家そのものが左右と上へ広がります。住宅・家具・家電・水回りに関する公開特許には、住まいの固定観念を変える発明が描かれています。
同じワンルームが昼はリビング、夜は寝室になる
どんな発明?
YO! Ltdの「Residential apartment」は、小さな住戸を一つの固定レイアウトとして使うのではなく、時間帯や用途に応じて構成を切り替える住宅を描いています。FIG. 43Aと43Bでは、同じ小型住戸が昼と夜で別の部屋のように見えます。
昼は座席やテーブルを使える生活空間として開き、夜はベッドを前面へ出して寝室へ変える。壁で部屋を増やす代わりに、同じ容積へ複数の状態を持たせる発想です。
- ASSIGNEE
- YO! Ltd
- PRIORITY
- 2012-09-12
- PUBLISHED
- 2015-09-03
- PUBLICATION
- US20150247338A1
- INVENTORS
- Simon Woodroffe
ベッドが天井へ上がって見えなくなる
どんな発明?
Oriの特許は、ベッドを上下させる大型のロボティック家具を扱っています。FIG. 4ではベッドが床側にあり、FIG. 5では天井側のシュラウドへ上がっています。明細書は、上げたときに寝具ごと隠れ、ベッドが消えたように見える構成を説明しています。
床面積を一日中ベッドへ割り当てるのではなく、寝る時間だけ下ろす。家具の「置き場所」を変えるのではなく、使わない家具を部屋の上方へ退避させます。
- ASSIGNEE
- Ori Inc
- PRIORITY
- 2018-11-09
- PUBLISHED
- 2023-06-22
- PUBLICATION
- US20230189982A1
- INVENTORS
- Carlos Rubio / Chad Bean / Ivan Fernandez de Casadevante / Hasier Larrea-Tamayo / Robert T. Hsiung / Daniel Ritts
テーブルが床ではなく天井から降りてくる
どんな発明?
「Concealable suspended surfaces」は、天井に隠せる吊り下げ式の作業面を提案しています。FIG. 1A〜1Cでは、板をケーブルで下ろし、机や食事用テーブルとして使う様子が描かれます。
使い終われば上へ戻し、床から家具を消せます。脚付きテーブルを折り畳むのではなく、そもそも床に支える脚を置かない設計です。
- ASSIGNEE
- Individual
- PRIORITY
- 2013-06-27
- PUBLISHED
- 2015-01-01
- PUBLICATION
- US20150000569A1
- INVENTORS
- Joseph Casino
カメラとロボットアームが自動でベッドを整える
どんな発明?
Stephen Lang Dickersonの特許は、ベッドの状態をカメラなどのvision deviceで読み取り、計算装置が指示を作り、可動式のbedding manipulatorが寝具を動かす自動ベッドメイク装置です。
FIG. 1では、ベッド脇の装置から長いアームが寝具へ伸びています。人が「乱れているか」を判断して手でシーツを直す一連の作業を、視覚認識と機械操作へ分解しています。
- ASSIGNEE
- Individual
- PRIORITY
- 2003-03-05
- PUBLISHED
- 2006-05-02
- PUBLICATION
- US7036164B2
- INVENTORS
- Stephen Lang Dickerson
4本のロボットアームが並んでキッチンで料理する
どんな発明?
Sonyの「調理アーム、調理システム」は、調理機能を持つアタッチメントを交換できるアームと、そのアームを調理システム内で移動させる機構を扱っています。
FIG. 2では複数のアームが同じ調理台に並び、肉や食材へ別々に働きかけています。家電を一台ずつ自動化するのではなく、キッチンそのものをロボットの作業空間として組み直す発想です。
- ASSIGNEE
- Sony Corporation
- PRIORITY
- 2018-10-05
- PUBLISHED
- 2021-12-23
- PUBLICATION
- US20210394371A1
- INVENTORS
- Yuto Ishizu / Shigeki Ono / Tatsushi Nashida / Mitsuo Okumura / Tomoko Takahashi / Ayaka Sato / Ikuto Yoshikawa
冷蔵庫の扉が必要なときだけ「窓」になる
どんな発明?
LG Electronicsの特許は、冷蔵庫の扉を必要に応じて透明にし、扉を開かなくても内部を見られるようにする構成を扱っています。FIG. 1には冷蔵庫全体、FIG. 2には扉の透明領域を含む構造が描かれます。
冷蔵庫の扉は、中身を隠して冷気を逃がさない壁でした。その「見えない方がよい」という役割と、「中を確認したい」という要求を、扉自体の状態を変えることで両立させます。
- ASSIGNEE
- LG Electronics Inc.
- PRIORITY
- 2014-10-17
- PUBLISHED
- 2019-04-30
- PUBLICATION
- US10274250B2
- INVENTORS
- Sangoh Kim / Hangbok Lee / Jaeyoul Lee / Minsub Kim / Jungkyu Son / Jaehyun Soh / Eugene Suh / Nami Kim
トイレや蛇口の操作ボタンが空中へ浮かぶ
どんな発明?
Kohlerの特許は、蛇口、トイレ、スマートミラーなどを、空間へ投影した画像で操作する仕組みを扱っています。明細書ではこうした空間画像を「holograms」や「holographic displays」と呼ぶ場合があると説明しています。
FIG. 28と29では、トイレを含む浴室環境と、投影・検出系の位置関係が描かれます。操作面を壁や本体へ固定するのではなく、必要な場所へ光として出す発想です。
- ASSIGNEE
- Kohler Mira Limited / Kohler Co.
- PRIORITY
- 2020-04-24
- PUBLISHED
- 2024-06-27
- PUBLICATION
- US20240210806A1
- INVENTORS
- Kevin Peel / Craig Fitton / Nigel Sansum / Chanseol Chung
トイレに座るだけで尿や体温まで測る
どんな発明?
TOTOの1980年代の出願に基づく特許は、トイレと健康診断システムを一体化しています。尿の一部を採取して特定成分を測る機構に加え、少なくとも利用者の体温を測るセンサーと、結果を表示する装置を含みます。
FIG. 1は外見としては普通のトイレに近い一方、FIG. 2の断面には測定部と制御・表示系が組み込まれています。健康測定のために別の機械へ移動するのではなく、毎日の行為そのものを測定機会に変えます。
- ASSIGNEE
- Toto Ltd
- PRIORITY
- 1987-01-27
- PUBLISHED
- 1990-10-09
- PUBLICATION
- US4961431A
- INVENTORS
- Takao Ikenaga / Toshifumi Shigematsu / Akio Kusumoto / Masatoshi Yada / Kimiyoshi Yamamoto
服を入れると向きをそろえて畳むところまで機械に任せる
どんな発明?
Samsung Electronicsの「Clothing classification apparatus and clothing organizing apparatus including same」は、乾いた衣類を人が一枚ずつ整える工程まで自動化しようとする特許です。FIG. 1では、衣類を扱うローラーやセンサー、把持・折り畳み側の機構を含む装置全体が描かれています。
特許では二本のローラーの間で衣類を動かし、センサーで衣類がどちら側を通ったかを判断しながら回転方向を変え、つかみやすい初期位置を作ります。収納家具を賢くするというより、洗濯後の「広げる・向きを整える・畳む」を一続きの機械工程へ変える発想です。
- ASSIGNEE
- Samsung Electronics Co Ltd
- PRIORITY
- 2020-10-22
- PUBLISHED
- 2023-08-17
- PUBLICATION
- US20230257928A1
- INVENTORS
- Daesoo Kim / YoungJae Chae / Jaehong Kim
最後は家そのものが上下左右へ広がって2階建てになる
どんな発明?
US20240254754A1は、移動・運搬できる小さな状態から、左右方向と上方向へ展開して2階建ての居住空間を作る住宅構造を扱っています。掲載したFIG. 1Aは折り畳み状態、FIG. 1Bは完全展開状態です。原典のFIG. 2では、外壁・床・2階部分・屋根を順番に広げる工程も確認できます。
公報では、左右の拡張部を開いたあと、中央部を持ち上げ、収納されていた2階床パネルをスライドさせて上階を作る構成が説明されています。固定された家の中で家具を動かすのではなく、家の外形そのものを可変機構として扱う発想です。
- ASSIGNEE
- A&C Future Inc
- PRIORITY
- 2023-01-30
- PUBLISHED
- 2024-08-01
- PUBLICATION
- US20240254754A1
- INVENTORS
- Zhuangboyu Zhou / Ju Gao / Jiuqi Wang / Sichen Li / Xunmin Jiang / Shoue Chen / Han Qin / Jiayang Qin
AFTER THE FIGURES
未来の家では「動かないもの」が減っていく
10件に共通するのは、これまで背景だったものが動き出すことです。部屋の用途、ベッド、テーブル、冷蔵庫の扉、収納、そして家そのもの。家を形づくる固定物が必要なときだけ現れたり、別の役割へ切り替わったりします。
自動化の向きも同じです。ベッドメイク、料理、健康測定、衣類整理のように、人が家の設備を操作する関係から、設備側が人の生活へ働きかける関係へ少しずつ反転しています。
こうした発明は、「ここにあるはず」「動かないはず」という前提を変えることで、同じ空間を何通りにも使おうとしています。
SOURCES
一次資料
- US20150247338A1 — Residential apartment
- US20230189982A1 — Systems and methods for improved operation of moveable robotic elements
- US20150000569A1 — Concealable suspended surfaces
- US7036164B2 — Automatic bed making apparatus
- US20210394371A1 — Cooking arm and cooking system
- US10274250B2 — Refrigerator
- US20240210806A1 — Systems and methods for controlling a plumbing fixture, smart mirror, and the like using projected images
- US4961431A — Toilet device with health examination system
- US20230257928A1 — Clothing classification apparatus and clothing organizing apparatus including same
- US20240254754A1 — Two floor expandable house structure
