Appleの特許を眺めていると、今ある製品からは想像しにくい姿のコンピューターが次々に出てきます。スマートフォンのような端末をノートPC型アクセサリの一部にする。キーボードのキーを取り外してマウスにする。落とした瞬間に自分で折れるディスプレイ。車の外の景色を、まったく別の世界に置き換える仕組み。

これら10件はApple Inc.を出願人・権利者とする米国特許資料に記載された提案です。

FIG. 01

スマートフォンのような端末をノートPC型アクセサリに差し込む

SOURCE FIGURESFIG. 1
PUBLICATIONUS20170083048A1
ホスト端末をノートPC型アクセサリへ装着し、機能を拡張する構成。
FIG. 01US20170083048A1
ノートPC型アクセサリのパームレスト部分に携帯端末を装着する構成を示す特許図面

ホスト端末をノートPC型アクセサリへ装着し、機能を拡張する構成。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

一見すると普通のノートPCですが、アクセサリ側には通常のPCのような処理能力をほとんど持たせません。代わりに、スマートフォンや小型タブレットのような「host device」を差し込み、その端末が計算処理を担当します。

アクセサリ側は大きな画面、キーボード、追加バッテリーなどを提供できます。特許には、ホスト端末のタッチスクリーンをノートPCのトラックパッドのように使う案も記載されています。

Apple Inc.FIG. 01
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2015-09-21
PUBLISHED
2017-03-23
PUBLICATION
US20170083048A1
INVENTORS
Brett W. Degner
ORIGINAL
FIG. 02

キーボードのキーを外すと、マウスになる

SOURCE FIGURESFIG. 1, FIG. 1A, FIG. 1B
PUBLICATIONUS20210255711A1
キーボードから取り外して別の入力装置として使えるキー。
FIG. 02US20210255711A1
キーボードから取り外せるキー型入力デバイスを示す複数の特許図面

キーボードから取り外して別の入力装置として使えるキー。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

キーボードに並んでいるキーの一つを取り外すと、その小さな部品が独立したポインティングデバイスになります。

取り外せる入力デバイスに位置センサーを持たせ、キーボードに付いているときはキー、取り外したときにはマウスのような入力装置として動作する構成です。光学式の位置センサーやクリック入力も想定されています。

Apple Inc.FIG. 02
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2020-02-19
PUBLISHED
2021-08-19
PUBLICATION
US20210255711A1
INVENTORS
Paul X. Wang
ORIGINAL
FIG. 03

スタイラスで現実の色を拾う

SOURCE FIGURESFIG. 1
PUBLICATIONUS20200225778A1
現実の物体から色を測り、別のデバイスへ送るスタイラス。
FIG. 03US20200225778A1
スタイラスを現実の物体へ近づけて色を測定し、タブレットで利用する構成を示す特許図面

現実の物体から色を測り、別のデバイスへ送るスタイラス。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

デジタルペンの先、あるいは反対側にカラーセンサーを搭載し、そのセンサーを現実の物体に近づけて色を測定します。得られた色の情報はタブレットなどへ送られ、描画や編集に利用できます。

画面上のスポイトツールを、現実世界まで持ち出したような考え方です。

Apple Inc.FIG. 03
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2019-01-14
PUBLISHED
2020-07-16
PUBLICATION
US20200225778A1
INVENTORS
Nicholas C. Lewty / ほか
ORIGINAL
FIG. 04

ワイヤレスイヤホンケースが小さな操作端末になる

SOURCE FIGURESFIG. 5A, FIG. 5B
PUBLICATIONUS12001753B2
タッチ画面を備えたワイヤレスイヤホンケースと再生操作UI。
FIG. 04US12001753B2
タッチ画面を備えたワイヤレスイヤホンケースと音楽再生操作を示す特許図面

タッチ画面を備えたワイヤレスイヤホンケースと再生操作UI。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

ケースの表面にタッチ対応ディスプレイやGUIを持たせ、イヤホンや音声コンテンツを操作します。ケースを単なる充電器ではなく、音楽再生などを扱えるインタラクティブなデバイスとして使う構成です。

現在のワイヤレスイヤホンケースに近いサイズの物体が、表示と操作を持つ小型端末へ変わります。

Apple Inc.FIG. 04
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2021-09-24
PUBLISHED
2024-06-04
PUBLICATION
US12001753B2
INVENTORS
Darius A. Satongar / William D. Lindmeier / Per Haakan Linus Persson
ORIGINAL
FIG. 05

指輪を回してコンピューターを操作する

SOURCE FIGURESFIG. 1
PUBLICATIONUS11714494B2
指に装着し、外周リングの回転などを入力に使うデバイス。
FIG. 05US11714494B2
人の指に装着されたリング型入力デバイスを示す特許図面

指に装着し、外周リングの回転などを入力に使うデバイス。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

指にリング型デバイスを装着し、外側のリングを回すなどして別の機器を操作します。外周リングと内周リングを持つ構成では、外側を指で回す動作をスクロールや値の変更などへ割り当てられます。

外部デバイスの音量や明るさなどを操作する例も想定されています。

Apple Inc.FIG. 05
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2019-09-26
PUBLISHED
2023-08-01
PUBLICATION
US11714494B2
INVENTORS
Gabriele D'Amone / Ivan S. Maric / Aidan N. Zimmerman / Stephen E. Dey / Muhammad F. Hossain
ORIGINAL
FIG. 06

Watchのバンドを持ち上げて写真を撮る

SOURCE FIGURESFIG. 4
PUBLICATIONUS10331083B1
バンド先端のカメラをWatch本体とは別方向へ向ける構成。
FIG. 06US10331083B1
手で持ち上げた時計バンドの先端にカメラを配置した構成を示す特許図面

バンド先端のカメラをWatch本体とは別方向へ向ける構成。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

カメラはWatch本体ではなく、バンドの先端にあります。バンドは曲げたり向きを変えたりできるため、本体を不自然な方向へ向けなくてもカメラだけを被写体へ向けられます。

時計側のディスプレイをファインダーとして利用する構成も記載されています。

Apple Inc.FIG. 06
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2016-09-16
PUBLISHED
2019-06-25
PUBLICATION
US10331083B1
INVENTORS
Trevor J. Ness / Michael B. Wittenberg / Elizabeth B. Diaz
ORIGINAL
FIG. 07

腕にパチンと巻き付く、ほぼ全面ディスプレイ

SOURCE FIGURESFIG. 5A, FIG. 5B
PUBLICATIONUS20130044215A1
平らな状態と、腕へ巻き付いた状態のbi-stable spring device。
FIG. 07US20130044215A1
柔軟なディスプレイを平らにした状態と腕に巻き付けた状態を示す特許図面

平らな状態と、腕へ巻き付いた状態のbi-stable spring device。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

平らな状態で腕へ当てると、バネの力でくるっと巻き付く、いわゆるslap braceletに似た構造です。Appleの特許ではそのbi-stable springに柔軟なディスプレイを組み合わせています。

腕へ巻いた状態では、柔軟な表示面を腕の周囲に広く配置できます。

Apple Inc.FIG. 07
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2011-08-17
PUBLISHED
2013-02-21
PUBLICATION
US20130044215A1
INVENTORS
Fletcher R. Rothkopf / Derek W. Wright / Scott A. Myers
ORIGINAL
FIG. 08

落とすと、自分で折れて画面を守る

SOURCE FIGURESFIG. 25
PUBLICATIONUS20230079485A1
落下検知後に表示面を折り、画面ではなくエッジ側で衝撃を受ける例。
FIG. 08US20230079485A1
落下中の折りたたみ表示端末が画面を折り、エッジ側で地面に着地する流れを示すFIG.25の特許図面

落下検知後に表示面を折り、画面ではなくエッジ側で衝撃を受ける例。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

端末内のセンサーが落下を検知すると、表示面を180度未満まで折り曲げます。図面では、平らな端末が落下し、途中で折れて、ディスプレイ面ではなくエッジ側で地面へ当たる流れが一枚に描かれています。

別の実施例では、モーター駆動のヒンジなどを使って落下時に端末の形を変える構成も説明されています。

Apple Inc.FIG. 08
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2021-09-14
PUBLISHED
2023-03-16
PUBLICATION
US20230079485A1
INVENTORS
Hoon Sik Kim / Michael B. Wittenberg
ORIGINAL
FIG. 09

傷ついたディスプレイが自分で直る

SOURCE FIGURESFIG. 10
PUBLICATIONUS20200313111A1
自己修復材料と、その修復を促す層を含む表示カバーの構成。
FIG. 09US20200313111A1
柔軟ディスプレイのカバー層と自己修復を促す構造を示す断面特許図面

自己修復材料と、その修復を促す層を含む表示カバーの構成。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

折りたためるディスプレイの表面に、自己修復特性を持つ材料の層を設けます。傷やへこみができても、材料が元の形へ戻ることで損傷を減らす考え方です。

特許では、自然に自己修復する構成に加えて、熱・光・電流などの刺激で修復を開始または促進する実施例も説明されています。

Apple Inc.FIG. 09
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2019-03-26
PUBLISHED
2020-10-01
PUBLICATION
US20200313111A1
INVENTORS
Hoon Sik Kim / Leiming Wang / ほか
ORIGINAL
FIG. 10

クルマの外を別の世界に置き換える

SOURCE FIGURESFIG. 10(A), FIG. 10(B), FIG. 10(C)
PUBLICATIONUS20240078770A1
実際の車両運動と連動して提示される仮想環境の例。
FIG. 10US20240078770A1
車両の移動に合わせて異なる仮想風景を提示する没入型表示の例を示す特許図面

実際の車両運動と連動して提示される仮想環境の例。

拡大時はドラッグで移動。+/−で拡大縮小、0で全体表示、矢印キーで移動、Alt+矢印キーで前後のFIG.へ。

どんな発明?

車両のセンサーや動きとVRコンテンツを組み合わせ、乗員が見る世界を別の環境へ変えます。実際の車両の曲がり方や加減速を、仮想世界側の出来事として対応させる考え方です。

たとえば道路上の動きを、仮想環境では別の乗り物や別の場所で起きている動きとして感じさせる実施例が説明されています。

Apple Inc.FIG. 10
ASSIGNEE
Apple Inc.
PRIORITY
2016-09-23
PUBLISHED
2024-03-07
PUBLICATION
US20240078770A1
INVENTORS
Mark B. Rober / ほか
ORIGINAL

AFTER THE FIGURES

10件の特許に見る機器の役割と形

10件を並べると二つの発想が繰り返し現れます。

一つは、機器の役割を固定しないことです。携帯端末がノートPC型アクセサリの頭脳になり、キーがマウスになり、イヤホンケースが操作端末になり、Watchのバンドがカメラになり、指輪が入力装置になります。

もう一つは、物体そのものを動的にすることです。平らなディスプレイが腕に巻き付き、落下中の端末が自分で折れ、傷ついた画面が自分で修復する。普段目にしている製品は大量の選択肢の中から残った一つの形です。特許図面には、その途中で枝分かれした「別の未来」が残っています。

SOURCES

一次資料

  1. US20170083048A1 — Electronic accessory device
  2. US20210255711A1 — Deployable key mouse
  3. US20200225778A1 — Computer System With Color Sampling Stylus
  4. US12001753B2 — Devices, methods, and graphical user interfaces for interactions with a headphone case
  5. US11714494B2 — Ring input devices
  6. US10331083B1 — Watch band with optical sensor
  7. US20130044215A1 — Bi-stable spring with flexible display
  8. US20230079485A1 — Self-retracting display device and techniques for protecting screen using drop detection
  9. US20200313111A1 — Electronic Devices With Flexible Display Cover Layers
  10. US20240078770A1 — Immersive virtual display